第24章

記者たちは前田南の言葉など信じず、さっさと荷物をまとめて立ち去ろうとした。

だが、思いがけずスマホの着信音が遠くから近づいてきた。

すでに立ち去ろうとしていた記者たちが一斉に振り返り、興奮した様子で「琛様だ!」と叫んだ。

わずか数秒のうちに、記者たちは元の位置に戻り、機材をセットし、カメラのハイビジョンモードを望月琛と前田南に向けた。

前田南は電話を切り、スマホをしまって望月琛の側に歩み寄った。

前田南は愛らしく微笑み、

「叔父さん、みんなをびっくりさせましたよ。もう来ないと思ってました」

望月琛は向かいの記者たちに視線を送り、始めてもいいという合図を出した。

記者たちは空気...

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